通信の歴史

通信について

通信(コミュニケーション)とは情報をやりとりすることで,会話も通信の1つと考えることができます.また,遠く離れた人との間で通信が行えるものを通信システムと言います.さらに,デジタル化された通信をデータ通信と言います.1958年,アメリカの防空システムとしてSAGEが稼働しましたが,これはデータ通信システムの代表例です.

通信システムとしては,1800年代に発明された電気で情報を伝える電信,1844年にモースがベイルの協力を得て発明したモールス電信機,1876年にグラハム・ベルにより発明された,音声をそのままの形で送る電話があります.1900年代始めには,電波で情報を伝えることができるようになりました.なお,無線通信は1896年にマルコーンが発明しました.

衛星通信は,1962年にアメリカのテルスター1号が人工衛星による通信実験を初めて行いました.また,1963年にはシンコム2号が,初の静止衛星として打ち上げられました.

一度に多くの情報を送る手段としてマスコミュニケーションがあります.印刷がその始まりで,1445年頃にグーテンベルグが発明した活版印刷,文字を写真のように印画紙に焼き付ける写真植字が発明されました.1906年には,アメリカのマサチューセッツ州で初めてラジオ放送が行われました.現在は携帯電話が普及していますが,これにはセルラー方式が使われています.無線基地局をたくさん並べて,サービスエリアを細胞状にカバーし,隣り合うセル同士には異なる周波数帯域を割り当てることで,混乱を防ぎます.

なお,日本ではJRの座席予約システムMARS-1が1960年に稼働しており,データ通信技術は国際水準にあります.しかし,通信自由化が1971年にようやく始まったことを考えると,その部分で少し時代に遅れているとも言えます.

コンピュータネットワークとは

コンピュータとコンピュータをつないだ通信システムをコンピュータネットワーク(ネットワーク)と言います.さて,ネットワークとは具体的には何でしょうか.

ネットワークとは網状のものを表す言葉です.日常生活のネットワークには,道路や鉄道があります.そして,それらのネットワークの中では何かが運ばれています.運び方にはルールが決められています.

ネットワークとは「何らかのつながりを利用して,定められたルールに沿って,何かを運ぶためのもの.」と言えます.

プロトコル

ネットワークには決まり事が必要です.電話を例とすると,各家庭から電話局までに線が必要になりますが,その規格(素材・電流・電圧等)はどうするか,伝える電気信号にどのような意味をもたせるか決める必要があります.最終的には人間が会話するので,何語で話すかも決める必要があります.この決まり事をプロトコルと言い,ネットワークで正しく情報をやりとりできるように決められたルールのことです.

ネットワークの発達

コンピュータから離れたところに置かれる入力装置を端末と言います.そして,コンピュータと端末装置が接続されている状態をオンラインと言います.接続されていないときはオフラインです.

やがて,コンピュータと端末ではなく,コンピュータ同士を接続することで,情報のやりとりや装置の共有ができるようになりました.例えば,3台のパソコンに対して1台しかプリンタがないとき,今までは,1つのパソコンにしかプリンタをつなげませんでした.しかし,共有設定をすることで,どのパソコンからもプリンタが利用できるようになります.

1980年代に普及した,同じ建物・敷地の中で通信をする小規模なネットワークをLANと言います.また,1957年,旧ソビエト連邦が人類初の人工衛星打ち上げに成功し,アメリカ国内で核戦争に対する危機意識が高まった結果,アメリカ国防総省内にARPAという組織ができました.このとき,いくつかの学術機関を結んだネットワークARPANETが誕生し,今日のインターネットの起源と言われています.

つまり,インターネットはもともと軍事目的で開発されたことになります.やがて,学術研究用に利用され,さらに商業化が進み,一般家庭に普及することになりました.

Column

英語でインターネットを表す単語はInternetinternetがあります(頭文字が大文字か小文字かどうか).

Internetは世界規模の相互接続ネットワークを表し,日本語のインターネットと同じ意味です.一方,internetは,ネットワークを相互に接続する技術によって構成されたネットワークの意味です.

Web

多くの人(不特定多数)に向けて情報発信できる通信サービスを放送型の通信サービスと言い,Webはこれにあたります.1989年にバーナーズ・リーがグローバルハイパーテクキストプロジェクトとして提案しました.インターネットで最もよく使われている放送型の通信サービスをWWWと言います.

ウェブページWWWにおいて発信される情報の単位です.そして,ウェブページの集まりがウェブサイトです.ウェブページにはハイパーリンク(リンク)を埋め込むことができます.リンクをたどることで,他のウェブページに移動できます.

ウェブページ閲覧のためのソフトウェアをブラウザと言います.また,ウェブページの所在地を示すURIがあります.URIは通常,http://exmaple.com/index.htmlのようになっています.http://はHTTPというプロトコルを用いることを表します.example.comはWWWサーバ(インターネットにつながっているWWWの情報を発信できるコンピュータ)のアドレスで,index.htmlはファイルの名前です.

Column

一般にホームページという言葉が使われていますが,一部の人はこれを使いません.この言葉の元の意味は,ブラウザが最初に表示するページのことですが,その内に意味が拡大していき,特定のウェブページ全体を指すようになりました.よって,混乱を招くことがあり,特定のウェブサイトで最初に表示されるページのことは,トップページとも言います.

また,ホームページはHome PageであることからHPと略す人もいますが,一部の人はこれを好みません.パソコン関連の会社であるヒューレット・パッカード社(Hewlett-Packard Company)の略称と混同することがあるからです.

なお,URIという言葉は聞き慣れないかもしれませんが,URLとほとんど同義と考えて差し支えありません.大雑把に言えば,URLを内包する概念がURIです.公的試験でもURLを使う方が多いです.

気に入ったウェブサイトのURIを全部覚えるのは大変です.そこで,ブラウザの機能であるブックマーク(お気に入り)をすることで,現在閲覧しているページのURIを記憶してリストに保存します.また,特定のキーワードを元にして参考にするウェブサイトを検索するときがあります.その場合,主にサーチエンジン(検索サイト)を使います.フォルダ型ロボット型に分類され,どちらもウェブページの情報が大量に保存されています.一般に,情報の登録は,前者は手作業で,後者はロボットが自動的に行います.

なお,サーチエンジンの多くは,検索機能の他にも最新ニュースの配信等,総合的な情報サイトとなっていることが多いです.このようなサイトをポータルサイトと言います.基本的には,ポータルサイトから始まって,色々なウェブサイトを見て回ることになります.このように次々とウェブサイトを見ていくことをネットサーフィンと言います.

ウェブサイトはXHTML(昔のHTML)という言語で作成されます.つまり,これを習得して環境を整えれば自分のウェブサイトが作成できます.ただし,XHTMLを手書きするのは面倒なので,視覚的に(WYSIWYG)ウェブサイトを作れるソフトウェア(「Dreamweaver」や「ホームページビルダー」等)を使用することもあります.

この他,インターネットでよく見かける代表的なサービスとしてBBS(電子掲示板)チャットブログSNSがあります.

BBSは伝言板のようなもので,これを使って会話をしたり質疑応答をします.チャットはBBSと違ってリアルタイムで行われます.

ブログはインターネット上における日記のようなもので,専門知識がなくても簡単に設置できます.ブログは日記にとどまらず,特定分野の最新情報や,運営者独自の視点で書かれた情報等,有益なものがたくさんあります.あるブログの記事を参考にして自分の記事を書くことをトラックバックと言い,ブログの大きな特徴の1つです.

SNSはmixiに代表されるサービスです.一言では説明しにくいですが,共通の属性(年齢・性別・学校・会社・趣味等)のコミュニティが用意されており,主に友達作りが目的です.多くの場合,既に入会している人からの招待メールがないと入会できない仕組みになっています(自分から新規登録することはできません).

Column

mixiは,まず,サービスを考えついた会社の社長と従業員を無条件で登録許可します.その人達が招待し,招待された人が新たに招待していけば,いずれはほとんどの人に招待メールが行き渡るようになる考え方をしています.実際の善し悪しは別として,この考え方に基づけば人と人とのコミュニケーションが構築できます.

インターネットは携帯端末からでも利用できます.ここでは,最近話題になっているゲスブ(ゲストブック)プロフ(プロフィールの略)について説明します.

個人的な考えですが,ゲスブは本来,パソコンにあったものが携帯電話に導入されただけであり,サービスの考え方自体は最近のものではありません.BBSと似ていますが,ゲストブックは訪問者が記帳する意味合いで,会話をするわけではありません.プロフは,簡単な日記機能と自己紹介がついたものです.これも,本来はパソコンで提供されていたもの(無料かつ簡単に作れるウェブサイト提供サービス)が携帯電話に導入されただけです.これらが問題になっているのは,サービス自体ではなく,利用者が情報公開に危機感をもっていないことです.

インターネットのサービスを利用するにあたり,ネチケット(インターネット上のエチケット)を意識することが必要です.

なお,インターネット上に公開されているソフトウェアやデータを自分のパソコンに転送することをダウンロードと言います.その逆はアップロードです.

電子メール

電子メールの仕組み

電子メール(e-mail)はコンピュータネットワークを使って,デジタル情報で表現した手紙を配送するシステムやサービスのことです.電子メールを送受信するときはメーラーと言うソフトを使います.

ハガキに郵便番号や住所を書くように,電子メールでも入力する項目があります.ここでは,その一部を示します.

To 送信先の電子メールアドレスを書きます.
Subject 電子メールの件名を書きます.
Cc 電子メールを複数の人に読んでほしいときがあります.その場合,Toの他に送りたい送信先メールアドレスを書きます.ただし,CcBccと違い,電子メールアドレスが隠されないので,受信した人は他の人のメールアドレスまで分かってしまいます.
Bcc Ccと同じですが,メールアドレスは隠されます.
From 送信元のメールアドレスが書かれます.これはメーラーが自動的に埋めます.
X-Mailer 送信者が使ったメーラーが書かれます.

必要事項を書いて送信操作をすると,電子メールが送信されます.送信したら,それを取り消す手だてはありません.ボタンを押す前にきちんと確認して下さい.なお,Subjectが空欄でもメールを送ることができます.この場合,件名は「無題」となることが多いです.ただし,1日に多数の電子メールを受け取る人もいますので,題名に「無題」は避け,用件を簡潔に記した題名をつけるべきです.

送信先メールアドレスが存在しなかった場合,アドレスが存在しないことを記した英語のメールが返ってくることがあります.送信先メールアドレスが存在しても,送信元や送信先のメールサーバが不調だと,英語で書かれたメールが戻ってきます.

メールが相手に届き,相手がそれを読んだかどうかを確実に確認できる方法はありません.また,同時にメールを送信しても,届く時間が同一とは限りません.インターネットの状態によっては,半日ぐらい遅れて届くこともあり得ます.

Column

複数の人にメールを送る場合,CcBcc以外に,Toで複数のメールアドレスを書くこともできます.この場合,メールアドレスは全て公開されます.

事情によって異なりますが,Toに書く場合とCcに書くで,受け取る側の見方が異なります.Toに指定されていた場合は「絶対読むこと」という意味合いに対し,Ccに指定されていた場合は「とりあえず目を通しておいて」という意味合いでとる例もあります.

なお,メーラーによってはToを指定しないとメールが送信できないことがあります.よって,全ての人にBccで送りたい場合は,Toに自分のメールアドレスを書くのが慣例となっています.

受け取ったメールに返事を書いて送信することを返信と言います.また,受け取ったメールをお知らせの目的で他人にそのまま送ることを転送と言います.一般的に,返信はSubjectの最初がRe:に,転送はFw:になります.なお,Re:はレスポンスを意味するので,メール以外の場面でも使われることがあります.

業務でメールを使う場合,文末に自分の名前や連絡先等(署名)を挿入することがあります.メーラーによっては,自動的に署名を挿入する機能がついています.

電子メールを使ったサービスは色々ありますが,ここではメールマガジンメーリングリスト(ML)を取り上げます.

メールマガジンとは,特定のテーマを扱ったメールが定期的または不定期的に配信されるものです.メーリングリストとは,あるテーマをもった集団の中で,メールによって情報を共有するものです.メーリングリストの特定のメールアドレスにメールを送ると,メーリングリスト参加者全員に同じメールが配信されます.

次に,メールアドレスの形式を説明します.メールアドレスはexample@example.comのようになっています.@の前はユーザIDで,自由に決められます(早い者勝ちの原理ですから,既にとられている場合は別の候補を考えます).@の後はドメイン名で,現実の世界で言う住所です.ここは自分では決められません.なお,同じメールアドレスを複数もつことはできません.

迷惑メールへの対応

Caution

電子メールが相手に届き,なおかつ相手が読んだことを確実に確認する手段はありません(相手に直接電話して聞きだせば別ですが).メーラーの機能で開封通知要求をつけることができます.これは,相手が電子メールを開いて開封通知を送信者側に送ることで,電子メールを開いたことを知らせる機能です.ただし,メールを開いたこと自体が分かるだけであり,中身を全て読んだとは言い切れません.

開封通知要求に反応してしまうと,そのメールアドレスが存在すると分かってしまいます.この機能を利用して迷惑メールを送る輩もいます.そのため,たとえ開封通知を要求されても,それに応えるかどうか選択できるようになっているメーラーが多いです.

知っている人のメールアドレスだと確証できるなら開封通知に応答しても良いでしょう.しかし,知らないメールアドレスからのメールは「通知しない」を選択することが賢明です.